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うれし野ラボ連携 三重大学医学系研究科 西村教授の「美容と健康コラム」
西村訓弘教授プロフィール
民間研究所、米国企業、大手外資系製薬企業の研究員などを経て、遺伝子解析技術の研究・開発に携わり、大学発バイオベンチャー企業の立ち上げに寄与。同ベンチャー企業の代表取締役社長を経た後、三重大学医学部特命教授を務め、2005年から同大学大学院医学系研究科教授となる。
体脂肪を悪いものだと思って、できる限り減らしたいと思っていませんか。
標準体脂肪率は30歳未満の男性で14%~20%、女性で17%~23%、30歳以上の男性で17%~24%、女性で20%~27%と言われており、これよりも体脂肪率が高いと「肥満」と考えてしまうようです。
この「肥満」という響きの恐怖のために、体脂肪は低いほうが良いというのが一般的な日本人の感覚ではないでしょうか。
少し冷静になって体脂肪について考えてみましょう。
体脂肪を学術的に定義つけると「体の中に蓄えられた脂肪」のことを指し、
人間の体には、余ったエネルギーをいざというときのために、脂肪に変えて保存しておく本能的な働きがあり、生命を守るために蓄えられているのが体脂肪です。
ずっと昔の人類は今のように十分な食料がなく、いつ飢餓の危機に会うか分かりませんでした。十分な栄養がないこと、また、いつ食べ物が途絶えるか分からないため、生存のために余分に取ったエネルギー源を体脂肪として蓄積することが、人類には特長として存在していたのでしょう。余談になりますが、江戸時代までの日本人は身長が今よりもはるかに低く、江戸時代は男性156センチ、女性は143センチだったという説があります。
この時代は肉を食べる習慣がほとんどなかったため体を作るための栄養が十分でなく小柄な体になっていたのだと思います。十分な栄養がないと体を小柄にする、将来の危機に備えて少しでも栄養を体脂肪として蓄えておくような本来の人間の特徴を省みると、十分な大きさの体を作ることができて、体脂肪をしっかりと蓄えられる現代人は幸せな時代を生きているのだと思います。また、体脂肪を悪いものだと考えるのは過去の人類からみれば羨ましい状態だとも言えるのでしょう。
いつ起こるか分からない危機に備えておくための体脂肪には、過去の人類には有り余るほどの食べ物に恵まれた経験がほとんど無いため、「これでよし」という上限がないのも事実のようです。
このため飽食の時代と言われて久しい現代社会では、際限なく体脂肪を蓄え続ける肥満が社会的な問題となっているのでしょう。体脂肪の蓄積にブレーキ機能を持たない人類は、「肥満」はできれば避けるべきですが、体脂肪を敵対視するのは必ずしも正しくはありません。体脂肪には、いざというときの栄養素の蓄えという役割だけではなく、体温を保つ役割など、人類にとって良い働きをしているのも事実です。
体脂肪は厄介なものではなく、人間にとっては「適量の範囲」において無くてはならないものなのです。
体脂肪は栄養を蓄積する特徴もあることから、いったん付いてしまうとなかなか落とすことができないのも悩みです。つまり、水とは違い体内から出してしまうのが難しいということになります。体脂肪は油(脂)であり、油と水は相容れないことは周知の通りです。
このため、油に溶けるものと水に溶けるものも違ってきます。水は、子供では体重の約70パーセント、成人では約60~65パーセント、老人では50~55パーセントを占めていると言われています。また、水には人間の体内を常に新鮮に保つ役割も持っており体内の水分は約2週間で入れ替わると言われているため、水に溶けるもので体に悪いものが体に入ったとしても、時間が経てば体から外に排出されます。一方で、体脂肪のように体の中に留まる性質のある「油」に溶けている「良くないもの」は、なかなか体の外に排出されないというのが一般的な見解のようです。
人工的に合成した化合物には水に溶けない性質を持つもの、水に溶けない不純物を含むものがあります。美容に良いとか、体に良いからと思って摂ったものでも、もし、この中に悪い化学物質などが含まれていれば、体の中の脂の部分に蓄積してしまうかもしれません。飽食の時代にいる幸せな人類には、自然素材から純度の高い成分で作られたものを選んで摂ることが「新たに身に着けるべき知恵」なのかもしれないと体脂肪のことを考えながら想いました。











